晩夏
暦の上では、すでに晩夏と言うらしい。
そんなことを知ったからというわけではないけれど、
盆を過ぎると終わりかけの夏の雰囲気が漂い始める。
油蝉が鳴く。
命を振り絞る叫び。
音圧。
それは、この夏に生きて死ぬことだけを目的に生まれた命が存在したという証拠を、時という正体の無いものに深く刻み付ける作業。
春は桜。
夏は蝉。
秋は落葉。
冬は雪。
日本には、はかなく過ぎてゆく時を思い出させてくれるものがある。
それがいい。
それを忘れてはいけない。
今年もまた、こうして夏が過ぎていく。