帰路

たまにだけれど、銀座からタクシーで家まで帰る時がある。勿論会社のお墨付きの時に限る。
夜の高速をひた走るタクシーが好きだ。
芝浦ジャンクションから高速に乗り、ベイエリアの夜景を見ながら、流れる街頭を横目に、マンション群にいちべつをくれる。
静まり返る車内にいると水の中をすいすい泳いでいるような感覚にすらなるさ。
川崎あたりから、工業地帯にはいる。
ここら辺の景色はまた格別だ。
明らかに今までとは違う明かり。
反射。
冷たさ。
空。
極めて人工的な建築物が、有機的な光をもって流れてゆく。
定期的に刻むタイヤのリズム。
サーッとゆう音。
それらの振動。
今までの気遣いや、自己嫌悪を巻き込んで沈殿してゆく、この感じ。
好きなんだよねぇ。