Take The A Train.

ただ、遠くへと行きたくなったんだ。

そこにあまり深い理由はない。

時が過ぎていくのが嫌だったのか、いずれ来る何かからの逃避だったのか。

ただ、遠くへ。
残された時間を、忘れて。
遠くへ。
走りだしたかったんだ。

全力で、遠くへ。

新宿で飲んで、明け方まで友達の家にいて、その勢いで大学を訪れ、部室でノートに最後の絵を書いて、そしてカードを解約し、タバコを吸って、品川まで歩き、ちょっと空いている東海道線に飛び乗って、ゆるやかな夕日を見ながら、帰る。
「明日、行こう。遠くへ。」

そう思った時、一人の友人にメールした。

「明日、京都に行かない?」
すると、友人

「寧ろ今日行かない?」

と、言うわけで、夕方にメールして、その後10時には八重洲口から、「青春ドリーム奈良二号」に乗り込み、次の日六時半には京都にいた。

と、言う事で、友人は、僕と一緒に走ってくれた。
京都の街を、僕らは全力で走り、笑った。
バカと、知が交互に現れるような会話をし、
最高のタイミングで全ては進行し、
全てうまい料理で
人のいい方とばかりであった。

感じた事、
思った事、
ゴマンとあるけど、敢えて記しません。

僕達は走り続けました。
全力で共に走ってくれる友がいました。
ただ、それだけ。

僕らは、いつものように笑ってやり過ごした。
ただ、いつもと違う事があった。
この句に、心のどこかで薄ら寒さを感じていた。

僕らは、計24時間、走り続け、泥のように眠った。
最期のその瞬間まで、全力で生きたいものだ。

瞬間は、いつも美しく、そして儚い。

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