大きくなりたくない

ベッドサイドで娘が「もう大きくなりたくない」と言った。

僕は胸がキュっと締め付けられた。

立派に育っててほしいこと、今が永遠であってほしいこと、人は老いて死ぬこと、子は親の手から離れていくこと、娘のその感情はとても尊いこと。

これらが一緒くたになって、なんと言ったらよいかわからなくなって、僕たちは優しい嘘をついた。

「ずっとずっと赤ちゃんでいいよ。ずっとみんな一緒だよ」

そう言って抱きしめた。

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